生まれ変わった鼻血ブー

信長正義の現在、過去、未来。

《第七話》夜明けの朝

なかなか寝付けなかったが、

いつの間にか朝の雰囲気になっていた、

 

それでもまだ6時台で、

朝の日が眩しく差し込むというような状態ではなく、

夜ではなくなっただけで、

廊下から漏れてくる人の動く気配が変わっただけだった、

 

左鼻の穴に詰められた脱脂綿に触れたらやはりまだ湿っていて、

指の腹を見たらうっすら赤くなって、

出血はまだ続いているようだった、

 

たぶん2時間くらい寝れたのかもしれない、

かみさんが買ってきてくれたペットボトルからクリアカップに移して水を飲んだら、

ようやく尿意に気付いてしまい寝入る前に意を決しておしっこがしたくなった、

ゆうに6時間はトイレに行っていなかった、

 

尿瓶は右脚のベッド横のステンレスのホルダーに差してあってプラスチック製だった、

上半身を起して抜き取って寝そべったままいたそうかと試みたがうまくいきそうになく、

結局ベッドの脇に立って尿瓶に差し入れていたした、

 

隣の先輩に音が聞こえないように、

背後のカーテンがザッと開いてナースに見られても動揺しないように、

みるみる重くなる尿瓶がスルッと手から落ちて大惨事にならないように、

細心の注意を払った、、、

 

おそらく、

そのあと安心して眠れたんだと思う、

 

 

目が覚めてこの時気になっていたのは、

もちろん出血が止まり正常に戻る、

ということであり退院する、

ということであったが、

直近のスケジュールで今朝9時からの面談の約束があることが気になってきた、

 

予定では事務所で行うオンラインでのセッションではあったが、

この状態では無論キャンセルを伝えなければならなかった、

 

ゆうべ出掛けに、

iPhoneをポケットに入れて、

iPadをリュックに入れたのは正解だった、

 

ショートメールで、

事情はぼかしたが急な予定変更の旨を恐縮しながら送った、、、

 

かみさんにはゆうべ別れ際に、

今日の仕事の予定について細かくお願いしておいた、

 

月曜日であるこの日に幸いぼくの仕事の予約は入っていなかったが、

朝一にそのセッションの予定があったので、

事務所の鍵を持ち帰っていてそれが自宅に置いたままだった、

 

その鍵はスタッフと共有していて、

普段はダイヤル式のポストに入れてやり繰りしていて、

午後からスタッフが事務所を使うことになっていた、

 

かみさんにはダイヤルナンバーを伝えて、

午前中に事務所に行ってもらい、

鍵をポストに入れてもらうように頼んだ、

 

翌日からの予約のことも含めて、

売り上げの事とか、

やはり仕事のことは頭から離れなかった、

 

 

7時を過ぎたら部屋の蛍光灯が点いて明るくなった、

暗いうちは何度か様子を伺いに来てくれた天使は、

どうやら夜勤が明けたらしく別のナースが入ってきて、

体温と血圧を測って点滴の様子を見てくれた、

 

体温はぼくにしてはやや高い37度だったが、

血圧は160くらいまでには下がっているようだったが、

それは点滴と胸に貼り付けたシール式の薬物のお陰であって、

まだ何も解決したわけではなかった、

 

7時半過ぎたら廊下にガタガタした音が響いて、

それは朝食を乗せたカートの音だったようで、

窓側の先輩にはそれが運ばれてきて食す気配を感じた、

 

入院病棟に上がってきた時にも言われていたが、

朝ごはんはなしということはわかっていて、

お腹が空いてるとは思わず、

羨ましいとかはなかった、

 

 

8時になる前にザッとカーテンが開いてゆうべの若先生が勢いよく入ってきて、

「今からもう一度処置します」と中学の同級生みたいな笑顔で言って出て行って、

その後ナースが車椅子を持ってきて点滴と心電図をつけたまま乗せられた、

 

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